モデル事務所の裏側:キャスティング担当のホンネを聞いてみた

こんにちは、村上蒼太です!
今回はちょっと踏み込んだテーマに挑戦してみました。

モデル業界の「裏側」って、正直どんな世界なんでしょうか?
私たちが雑誌やSNSで見ているあのキラキラした世界の向こうには、一体どんな人たちがいて、どんな思いでモデルを選んでいるのか。

今日は、キャスティング担当者の方々に直接お話を伺う機会があったので、その生の声をお届けしたいと思います。
ファッションの多様性を追い求める私の視点から、リアルな現場の声を切り取ってみました。

「外見の多様性がもっと肯定される社会を」という思いを胸に、今回も誰かのストーリーに耳を澄ませていきます。

キャスティングの現場とは

そもそもキャスティング担当って何する人?

まず基本的なところから整理してみましょう。
キャスティング担当者って、実際に何をしている人なのか?

キャスティング会社の主な役割:

  1. モデル事務所と企業の仲介業者として機能
  2. 人材選定・提案から契約締結まで一貫サポート
  3. 現場でのトラブル対応やスケジュール調整

簡単に言うと、「この商品にぴったりのモデルさんを見つけて、企業とつなげる橋渡し役」なんです。
でも、これが思っているより複雑で奥深い世界でした。

キャスティング会社の仲介料は、モデルのギャラの15〜30%程度が相場。
知名度が高いモデルほど、当然ながら費用も跳ね上がります。

モデルの選ばれ方、教えてください

「正直、100人応募があっても最終的に選ばれるのは1〜3人程度ですね」

こう話してくれたのは、都内大手キャスティング会社のディレクターAさん。
合格率わずか1%という厳しい現実があります。

選考の流れはこんな感じ:

  • 書類審査: 100名 → 30-40名に絞り込み
  • 会場審査: 面接・ポージングチェック
  • カメラテスト: 実際の撮影を想定した最終審査

「書類審査で写真がほぼ全てを決める」とAさんは続けます。
スマホ写真ではなく、プロフォトスタジオで撮影された写真が基本。
メイクも濃すぎずナチュラルに、素材の良さを伝えることが重要だそうです。

現場でよくある”あるある”とトラブル

現場での「あるある」を聞いてみると、意外な答えが返ってきました。

「一番困るのは、履歴書に書いたサイズと実際の体型が違うケースですね」
モデルとしての意識の低さが露呈してしまう瞬間だそうです。

他にも、こんなトラブルが:

  • スケジュール変更への対応力
  • 現場でのコミュニケーション能力
  • 契約内容の複雑さによる認識違い

「技術的なスキルよりも、人としての基本的なマナーや誠実さを重視している」という声が印象的でした。

理想と現実:キャスティング担当者のホンネ

こんなモデルが欲しい!でも現実は…

キャスティング担当者の本音を探ってみると、理想と現実のギャップが見えてきます。

「クライアントからは『○○みたいな雰囲気で、でも個性的で、親しみやすくて…』と、矛盾した要求が来ることも多いんです」

そう苦笑いするのは、関西のモデル事務所で働くBさん。
実際、企業側の「理想のモデル像」と「実現可能性」には大きな開きがあるようです。

クライアントの理想 vs 現実

  • 理想: 有名だけど起用しやすい価格で
  • 現実: 知名度と価格は比例する
  • 理想: 完璧な容姿でコミュニケーション力も高く
  • 現実: どちらかに特化している人が多い

「最終的には、商品やブランドのイメージに『ハマる』かどうかなんです」とBさん。
技術的な完璧さよりも、その人だけが持つ「空気感」を重視していることがわかりました。

SNS映え vs. 現場映え、どっちが大事?

これは今の時代ならではの悩みですよね。
Instagram用の写真は完璧だけど、実際に会ってみると印象が違う…なんてケースも増えているそうです。

「SNSでは加工が当たり前になっているので、素顔とのギャップに驚くことがあります」
デジタルネイティブ世代ならではの課題と言えるでしょう。

でも、面白いのは「軽い加工の方がスカウトされやすい」という事実。
完全に素顔である必要はないけれど、ナチュラルな雰囲気を演出することが重要なんだそうです。

ジェンダー・体型・個性…どう選ばれているのか

ここが今回一番聞きたかった部分です。
多様性への意識はどこまで浸透しているのでしょうか?

「正直、まだまだ『従来の美の基準』を求める企業が多いのが現実です」
率直に答えてくれたCさんの言葉には、複雑な思いが込められていました。

でも、変化の兆しも確実にあります。

  • ジェンダーレスモデルの起用増加
  • 多様な体型を活かしたキャスティング
  • 年齢にとらわれない配役

例えば、ロワモデルマネジメントのような事務所では、少数精鋭でハイクオリティなモデルを揃えながらも、個性を重視したキャスティングを心がけているそうです。
大阪・東京にオフィスを構え、SONY、ネスカフェ、ゼクシィなど大手企業案件を手がける同事務所は、関西トップモデル「藤原宏旨」さんなどの実力派が在籍していることでも知られています。

「『あなたにしかないもの』を持っている人が最終的に残るんです」
この言葉が、多様性への扉を開くヒントかもしれません。

SNS時代のモデル選び

Instagramは”ポートフォリオ”、TikTokは”人間性”?

SNSの使い方で、キャスティング担当者が見ているポイントが違うって知ってました?

各プラットフォームでの評価軸:

  • Instagram: 統一感のある世界観、フォロワーとのエンゲージメント
  • TikTok: 自然な表情、動いている時の魅力
  • YouTube: 長時間の露出に耐えられるキャラクター性

「Instagramは静止画の美しさ、TikTokは動いている時の自然さを見ています」
現場の声は、とてもリアルでした。

山之内すずさんがInstagramから、景井ひなさんがTikTokからスカウトされた事例は有名ですが、それぞれのプラットフォームの特性を活かしたアプローチが功を奏したということなんですね。

フォロワー数はどれくらい武器になるのか

気になるフォロワー数の影響力について聞いてみました。

「10万フォロワーを超えると、企業側も注目し始めます。でも、数だけじゃないんです」

重要なのはエンゲージメント率フォロワーの質
1万人の熱心なファンと、10万人の無関心なフォロワー、どちらが価値があるかは明白ですよね。

海外では、IMGモデルが「#WLYG」ハッシュタグでInstagramスカウトを本格化させています。
日本でも、こうしたデジタル発掘が当たり前になる日は近いかもしれません。

スカウトより「タグ漁り」?今どきのリサーチ術

面白いのは、キャスティング担当者の「モデル発掘術」が進化していること。

従来のスカウトに加えて:

  1. ハッシュタグ検索での逸材探し
  2. 投稿の統一感やブランディング力の評価
  3. コメント欄でのコミュニケーション能力チェック

「#ootd」「#selfie」「#modeling」などのタグから、まだ事務所に所属していない原石を見つけることもあるそうです。

でも注意が必要なのは、詐欺スカウトの存在。
きちんとした企業からのアプローチかどうか、必ず確認することが大切です。

「映える」だけじゃない、モデルに求められるもの

キャスティングが見ている”空気感”とは

「技術的なポージングより、その人が醸し出す雰囲気を重視している」

こう話すのは、数々の有名ブランドを手がけるキャスティング会社のDさん。
では、その「空気感」って具体的に何なのでしょうか?

評価される”空気感”の要素:

  • 自然体でいられる力
  • 商品やブランドとの親和性
  • 見る人に与える安心感や信頼感
  • 記憶に残る独特の個性

「完璧すぎる美しさより、どこか親しみやすさがある人の方が選ばれやすい時代になっています」

これって、SNS時代の「リアルさ」を求める風潮とも合致しているんですよね。

自己表現とチームワークのバランス

モデルの仕事って、実は思っている以上にチームワークが重要。
カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、そして現場スタッフとの連携が求められます。

「個性は大切だけど、チームの一員として機能できることも同じくらい重要です」

現場では、こんな能力が評価されるそうです:

  • 指示を的確に理解し、実行する力
  • 現場の空気を読んで臨機応変に対応
  • 長時間の撮影でも集中力を維持
  • スタッフとの良好なコミュニケーション

特に、初対面のスタッフとも自然に打ち解けられる人は、リピートされやすいという話が印象的でした。

“あなたにしかないもの”をどう伝えるか

最終的に選ばれるモデルに共通しているのは、「その人だけの魅力」を明確に表現できること

でも、これが一番難しいところですよね。
自分の魅力って、客観的に把握するのが困難です。

魅力の伝え方のコツ:

  1. 自分の個性を言語化する練習
  2. 得意な表情や角度を把握
  3. 自分らしいファッションスタイルの確立
  4. 話し方や仕草での個性の表現

「『普通の人』を求めている案件はありません。何かしら光るものを持っている人を探しています」

この言葉が、すべてを物語っているような気がします。

村上蒼太が見た、モデル業界の未来

「多様性」は本当に広がっている?

正直に言うと、現場の声を聞いていて複雑な気持ちになりました。
「多様性」という言葉は確実に浸透している一方で、実際の起用にはまだ課題があるという現実。

でも、希望もあります。

変化の兆し:

  • Z世代をターゲットにした企業ほど多様性を重視
  • SNSでの反響を意識した配役の増加
  • 従来の「美の基準」に疑問を持つ若手担当者の台頭

「5年前と比べると、確実に意識は変わっています。でも、変化のスピードはまだまだ」というのが、現場の実感のようです。

無名でも光る人が選ばれる時代へ

一方で、SNSの普及により「無名だけど魅力的な人」が発見されやすくなったのは間違いありません。

従来のモデル業界は、事務所に所属してからがスタートライン。
でも今は、個人のSNSアカウントが履歴書代わりになる時代です。

「フォロワー数よりも、その人の世界観や表現力を重視するようになりました」

この変化は、多様性にとって追い風だと思います。
画一的な「モデル像」ではなく、それぞれの個性を活かせる場が増えているから。

モデルと社会の関係を、どう変えていけるか

最後に、キャスティング担当者の方々に「理想的な未来」について聞いてみました。

「モデルという職業を通じて、もっと多くの人が『自分らしさ』を肯定できる社会になってほしい」

この言葉に、私も深く共感しました。

モデルは、ただ商品を美しく見せるだけの存在ではありません。
社会の価値観や美意識に大きな影響を与える、重要な役割を担っています。

だからこそ、そこに多様性があることで、より多くの人が「自分も美しい」「自分らしくていい」と思えるようになる。
そんな未来を、業界全体で作っていけたらいいなと思います。

まとめ

今回キャスティング担当者の方々とお話しして、モデル業界の「リアル」が見えてきました。

華やかな表舞台の裏には、真剣にモデルと企業をマッチングしようと努力している人たちがいます。
完璧な美しさよりも、その人だけの「空気感」や「個性」を大切にしている現実も知りました。

そして何より印象的だったのは、業界全体が少しずつでも「多様性」に向かって動いているということ。
まだまだ課題はあるけれど、変化の兆しは確実にある。

キャスティングのリアルを知ることで見えてくるもの:

  • 「見た目」以上に問われる、人としての魅力
  • 個性を大切にしながらも、チームワークを重視する現場
  • SNS時代ならではの新しい発掘方法とリスク

私たちが普段目にするモデルたちの向こう側には、こんなにも深い世界があったんですね。

これからも、ひとりひとりの物語に価値があることを信じて、誰かの「自分らしさ」を応援していきたいと思います。

皆さんも、もし興味があれば一度キャスティングの世界を覗いてみてください。
きっと新しい発見があるはずです!


この記事が、モデルを目指す方々や業界に興味がある方の参考になれば嬉しいです。また、多様性について考えるきっかけにもなったら幸いです。

最終更新日 2025年5月24日 by nakojp